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明後日までは、とても待てない

アイドルに引き寄せられたおんなのはなし

Endless SHOCK 2015千穐楽

長かったような、短かったような、そんな2ヶ月だった。先月初めから上演されてきたEndless SHOCK 2015東京公演が今日、3月31日千穐楽を迎え幕を下ろした。

「起きてはいけないことが起きてしまった年でした」

カーテンコールで光一さんが初めに言った。
この言葉から始まった光一さんの挨拶は以下のような内容だった。


「起きてはいけないことが起きてしまった年でした。ここで改めて話さなければならないかなと思っていましたので、お話いたします。あのようなことがあり、僕たちにとっては試練の年だったと思います。
また、悔しかったのはそこで学ぶことがまだあったことです。新たな表現、感情も生まれました。言葉にできない大切なことを学んだと思います。
事故は起こってしまいましたが、あの時、15年間やってきたスタッフさんとの信頼は崩れない自信がありました。事故の翌日から、僕たちが安心して舞台に立てるようにスタッフさんが全力で環境をつくってくれ、僕たちは何も心配せずに舞台に立つことが出来ました。翌日から再開することには批判もあるかもしれないと思いましたが、僕は覚悟の上で再開しました。あの事故の翌日、大道具の棟梁さんが僕のところに来て『頑張りますから』と仰って、グッときました。僕たちは言葉ではなく、パフォーマンスで全てを表現していこうと決めたんです。事故の翌日、もちろんそれ以降もですが、新たにものすごいエネルギーが生まれ、皆さんにもそれが伝わっていればいいなと思います。テレビの方でも沢山報道されましたが、次にSHOCKがニュースになる時はもっと明るい話題になるよう僕自身も頑張ります。」


過去にもSHOCKの千穐楽に入ったことはあるが、こんなにも出演者も観客もが強い気持ちを持って行われたカーテンコールは初めてだったと思う。わたしは光一さんが話しているだけで泣きそうだった。事故を肯定することはできないが、結果として1公演が無事に終えられること、そして千穐楽を迎えられることがいかに幸せなことかを改めて感じられたのは、カンパニーのみなさんだけではなく、わたしたち観客やファンにとっても意味のあることだったろう。

「僕たち」にとって試練の年だったと言いながら、批判を覚悟で再開したのは「僕」と表現する光一さん。いつもそうだ。みんな分かち合いたいことは「僕たち」と言うのに、批判を受けるかもしれないことは「僕」と言う。だから彼が好きだ。

そして光一さんが年下(つまり岸優太くん)から挨拶をするように促した。

越岡さん(無言で数歩前に出て挨拶しようとする)
光一さん「お前違うだろ!?笑」
越「あれ?違いました?(とぼける)」
光「お前!美波里さんに失礼だろ!?!?」
美波里さん(大笑い)
福ちゃん「精神年齢は一番若いんですけどね!!!」

神妙というのか重々しいというのか、そんな空気に包まれていた会場を一気に明るくしてくれた越岡さん。越岡さんはもちろん、本当にふぉ~ゆ~は気の遣える後輩だなと思います。そして乗っかる光一さんと福ちゃんが可愛かった。

そして岸(優太)くんから挨拶が始まった。
「岸優太と申します。今年でSHOCKに出させてもらうのは3年目で、初年とは舞台から見る景色が本当に違います。」
光「お客さんが歳取ったってこと!?」
岸「違う!違いますよ!僕自身が成長したってことです!本当に、光一くんから…あ、もちろん先輩方からもなんですけど(焦)…学ぶことが本当に多くて」
福「めっちゃ気遣ってんじゃん!笑」
岸「あと、ふぉ~ゆ~の(越岡さんと福ちゃんの組み合わせの)2人とやるのは初めてだったんですけど、マツがいなくなって清々しました!」
光「ぜーったいソレ福ちゃんが仕込んだだろ!笑」
福「仕込んでない!仕込んでない!本当に仕込んでないっすよ!」
岸「あ、わりぃ!」
光「『わりぃ』まで含めて福ちゃん仕込んだよ絶対!お前本当にすぐそういうことするからな!」
福「仕込んでないっす!(白々しい)」

挨拶を全て文字に起こすと膨大な量になるので、ちょっとまとめて書いていくが、次に挨拶をしたのは野澤くん。光一さんが、野澤くんが足をかなり痛めていてほぼ肉離れ状態だったことを明かした。「実はそうなんです」と短く言って、多くを語らない彼のことをわたしは良くは知らないが、きっと強い子なんだろう。光一さんんだって怪我してると思うけれど、人のことは言うのに自分のことは語らない。そういう光一さんの後輩として学んだ姿勢なのか、彼の元々の姿勢なのか分からないが、SHOCK初参加で本当に本当に大変だったろうと思う。とりあえずしばらくはしっかり体を休める時間があるのだろうか。若いからこそ、しっかり治してクセになるような怪我を作らないでほしい。野澤くんについては、ダンスの時の手足の映え方が美しいのに加えて、劇中の殺陣のシーンの表情が初めのころよりずっと良くなっていて、足を痛めながら表情にまで意識が行き届いていた。そんな彼に心から拍手を送りたい。

続いて諸星くん。「SHOCKで学んだことを人生に活かしたい」と素敵なことを言ってるのに光一さんに「まじめな諸星初めて見た」と言われ、福ちゃんには「俺も、まじめなこと言ってるからどうやって処理しようかと悩んでた」と言われる諸星くん。愛されてるんだなぁとしみじみ思った。きっととても素直な子。マツがいなくなったカンパニーで、(福ちゃんはもちろんだけれど)初参加の彼がムードメーカーになっていたことはとても微笑ましかった。そして、わたしたち観客にも笑顔をありがとう。

そして事故では怪我もした岸孝良くん。「SHOCKは精神的にも身体的にもすごく辛いんですよ、本当に」と言って観客からは笑いが起こった。この笑いは恐らく微笑ましくて笑った温かいものだったと思うのだが、孝良くんが「(お客さんは辛さを)知らないんですよ!!!」ってむくれてたのが可愛かった。その辛さをわたしたちは経験することはできないけれど、想像以上に大変なんだってことを頭では分かっているつもり。でもそれを表に出さないカンパニーだからこそ素敵だし、孝良君もきっとむくれちゃうほど大変だったのにそんなそぶり見せなかったの、本当にかっこいいと思います。そして「SHOCKが大好き」で、「辛かったけど、ジュニア7年間で色んな舞台をやってきた中でもこんなに夢中になれる舞台は初めて」と付け足した。怪我をして、恐怖も不安もあっただろう中、出演し続けた彼の精神力はもうカンパニーの立派な一員のものでした。
(もちろん、怪我をして出られなかった方々には当然休んでしっかり治して頂きたいし、決して怪我をしても出るべきだと言っているわけではない)

そして越岡さんの挨拶。
「ふぉ~ゆ~の半分の越岡です。いつもSHOCKはあっという間なんですけど、今年は特別にあっという間に感じました。後輩がいるから(辰巳とマツがいなくても)寂しくないって言ってたんですけど、本当は結構寂しかったです。寂しかった!!今年は役どころも変わって大変なこともあったんですが、ここまで来られて良かったです。初日に『光一くんの命は俺に任せろ』って言ったんですけど、守り切りましたよ!
会場からは大きな拍手が起こりました。

越岡さんはとても明るく挨拶していたんだが、わたしはなんだか泣けてしまった。ずっと我慢してた越岡さんのステージフォトを千穐楽だと思ったらつい買ってしまって、すっかり越岡さんに魅せられているわたし。

そして福ちゃんの挨拶。個人的には一番グッときた。というか本当に泣いた。


福「この挨拶って制限時間あります?あ、あります?あるんですか?えー、(明日から上演の舞台のセット準備待ちを)ぶち壊してやろうかな?だって挨拶終わったらSHOCKも終わっちゃうんですよ。終わってほしくないんですよ、寂しい。」
光「ここは屋上のシーンじゃないんだよ!真面目にやれよ!笑」
福「え、屋上のシーンじゃないんですか!?そっかぁ。…僕珍しいんですけど、SHOCK終わるのすごく寂しくて。なんか真面目な話したら泣きそうなんですよね。これ言ったら光一くん嫌がるかもしれないんですけど、事故の翌日にね、普段光一くんは階段の上にいて、僕たちは下から神様を見るような感じで見てるんですけど、光一君が僕たちのところに来て『僕たちは舞台に立つことしかできない』って言ったんです。それがすごくグッときて。今日も夢幻の時だったかな、終わっちゃうのが寂しくて、役のフクダが泣きそうなのか福田悠太が泣きそうなのか分からなくなって、打ち上げのことを考えて乗り切りました。笑 昨日も、衣装替えの時についポロッと『寂しいなぁ』って出ちゃったんです。そしたら衣装さんが『福ちゃんが言うと嘘っぽぉーい!』って。なんか俺の生き方否定されたみたいな!本当に寂しいんですよ!?!?」
福ちゃんが光一さんの言った言葉にグッときたって言った時の表情がとても格好良くて。あぁわたしやっぱり福ちゃん好きだな、と実感した。彼はいつも明るくてくだらないことしてるんだけど、それって彼のほんの表面で、実はとても色んなこと考えてると思うし、周りに気を遣って生きてるんだなぁと思う。光一さんのことを本当に慕って尊敬しているんだということも、とてもよく伝わってきて、彼がカンパニーの一員であることの頼もしさは計り知れない。

直さんは、事故があってもカンパニーのみなさんの思いが1本となってブレなかったこと、そしてそれぞれの人との関係の中から勇気をもらったと話していた。
エマさんは、最初はターンもできなかったのに1から丁寧に教えてくれたというダンサーさんへの感謝を述べて、その後事故の日に演技を続けられたのは、カンパニーのみんなも続けていると信じることができたからだと話し、改めて感謝の言葉を。
美波里さんは「SHOCKは舞台人のためにあるような舞台。本当は観客としてみたいくらい愛しています。みなさんもこれからもSHOCKを愛していってください。オーナーとしても、前田美波里としてもお願いです」と。

そして屋良さんは、NYでAnother Storyを撮った影響が大きくて、今年から新たな、より深い表現が出来たと思うと話し、それが観客の方にも伝わっていればいいなと話した。きっとこれは毎年SHOCKを観ている人には伝わっていたと思う。殺陣、Don't look back、Higher、コウイチが死んだと知ったシーン、全てにおいて今年の屋良さんの演技は光っていた。毎年観ていても何回観ていても、わたしはSHOCKを観るたび涙ぐむ。ただし、あんなに泣いたのは今年が初めてだった。すべて屋良さんの演技に持っていかれたとしか言いようがない。

光一さんは、Wカーテンコール(光一さんのみ登壇)含め、何度も「言葉では表せないことを学んだ。言葉には出来ない思いがある。スタッフさんにも、観客のみなさんにも感謝でいっぱいです」と言っていた。
そして「事故のあった公演、そしてその日の夜の公演を見に来る予定だった方には本当に申し訳ない気持ちで一杯です。観て欲しかったし、観せたかった。」とも言った。やはり彼にとって、取り返しのつかない公演なんだろう。実際、わたしのように何度も足を運ぶ人はまだしも、その公演しか行けずに、それだけを楽しみにしていた人は沢山いたはずだ。その気持ちを全面に受け止めて「一生忘れないし、忘れられないし、忘れてはいけない気持ちを学んだ」と言った光一さん。やっぱり彼が大きく見えた。

とりあえず、挨拶はこんな感じだった。ここからは、わたしが個人的に感じたことの話。
あの事故があった翌日のレポを読んで、その日の公演のエネルギーがすごかったということは把握していたし、事故以降の舞台の迫力が違うと誰もが言っていた。だからわたし自身、どのような舞台になっているのかとても興味があった。わたしの中でハードルはとてつもなく上がっていたはずだ。それなのに、今日はそんなわたしの予想をはるかに上回る完成度の公演を観た。
もしかしていつもより音量大きい?って思ってしまうくらい、迫力がすごかった。音も、声も、煽りも、息遣いも大きく聞こえて、舞台の世界観に飲まれてしまった。今までに観たことのない熱量のSHOCKがそこにあった。
決して今までのSHOCKがベストではなかったというわけではない。恐らく、幸か不幸かあの事故をきっかけに新たな表現が生まれたのだろうと思う。経験無しには生まれ得なかったエネルギー。SHOCKは新たなステージに突入したんだな、と漠然と思った。この舞台は一体どこまで進化するのだろう、どこまで大きくなるのだろう。わたしが今日抱いた感情は感動や尊敬だけではなく、畏怖もあったように思う。それほどに肌に突き刺さるような迫力があった。

わたしはあの事故のあった公演以来、次に観た公演では盛大な拍手を送ると決めていたが、そんなこと心に決めなくても拍手せざるをえない、有無を言わせず絶対的な輝きを放っている舞台になっていた。今までだってずっと最高の舞台だと思っていたのに、まだこんな世界があったのか、と驚嘆した。
このカンパニーを信じてきて本当に良かった。

梅田博多公演も決まったので、また新たな世界を楽しむことができることに胸を膨らませている。
とにもかくにも、東京公演が千穐楽を迎えたことを嬉しく思います。
出演者、スタッフのみなさん、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。
SHOCKに携わるすべての人に賛辞を送ります。